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Joachim Kühn / Music from The Threepenny Opera

Label: Verve
Rec. Date: Dec. 1995
Personnel: Joachim Kühn (p), Jean-François Jenny-Clark (b), Daniel Humair (ds)
Kuhn Joachim_199512_Threepenny 
1. Pirate Jenny
2. Barbara Song
3. Mr. Peachum's Morning Hymn
4. Solomon Song
5. Call from the Grave
6. Instead-of Song
7. Love Song
8. Mack the Knife (Moritat)

 「Daniel Humair / Full Contact」の記事で触れたピアニストJoachim Kühn(ヨアヒム・キューン)の「Music from the Threepenny Opera」です。メンバーは、Jean-François Jenny-Clark(ジャン-フランソワ・ジェニー-クラーク)とDaniel Humair(ダニエル・ユメール)という当時レギュラー・メンバーとして活動していたオール・ヨーロピアンのピアノトリオです。

 このトリオの第一作は「Easy to Read(1985年録音、Owl)」で、それ以降、ビッグバンドとの共演盤を含め(おそらく)全部で9枚のアルバムを発表、そして1995年に録音された本作が最後のアルバム(ベーシストが1998年没)になると思います。
 このトリオの他のアルバムは、主にメンバー三人のオリジナルを中心とした選曲なのですが、本作はタイトルのとおり、ドイツの作曲家Kurt Weill(クルト・ワイル或いはヴァイル)が作曲した音楽劇「The Threepenny Opera」(原題Die Dreigroschenoper、邦題「三文オペラ」)の劇中歌を題材とした、このトリオとしては異色作と言ってよいアルバムです。なお、CDにはドイツ語、フランス語、英語の楽曲名が並記されていますが、上記トラックリストは英語版を採用しました。

 上記の第一作「Easy to Read」からこのトリオの特徴が既に際立っているのですが、時折フリーに傾く(アウトする)強面・硬質のピアノがガンガン響き、ベースは上下に激しく技巧的に動き、ドラムはアイディア豊かな小技・大技でスペースを埋めながら、三者が入り乱れてインタープレイを繰り広げる・・・乱暴に言ってしまうと、これがこのトリオの基本的なやり方で、Kurt Weillの楽曲を素材にした本作でも同様です。
 そしてこの「やり方」は、約10年間、レギュラートリオとして活動を続けてきた成果として、充分に高度化し、熟成し本作に結実している、と言ってもよいくらいに、本作での三人の演奏は充実しています。「三文オペラ」はさておいて、と言わんばかりに、この素材を完全に彼ら三人の独自のサウンドに消化しています。

 例えば冒頭曲は、残念ながらオリジナルの「雰囲気」は承知しませんが、おそらくメロディアスで優しい曲想だったであろう素材のイメージを、彼らなりにハードに、ゴリゴリに料理しています。そしてアルバム全体に言えることなのですが、強く弦を弾(はじ)いて上下に激しく動くベースラインが実に印象的です。
 適切な喩えかどうか自信がありませんが、まるであのビル・エバンス・トリオのスコット・ラファロのように、このトリオにとって、このベーシストが替えの効かない存在であったことがよくわかります。上に述べましたように、彼が1998年に亡くなったため本アルバムがこのトリオの最終作になってしまったのは充分に納得のいくことですが、やはり残念と言うしかありません。
 例えば長尺の3曲目ですが、冒頭からDaniel Humairのドラムが暴れ回り、続いてピアノ、ベースがそれぞれに「見せ場」を作るトラックです。
 リーダーのピアノは、挑みかけるようにアウトするフレーズを叩きつけ、リスナーはひと時も心が休まりません・・・これは私としては「誉め言葉」のつもりです。
 一方のDaniel Humairですが、この人のドラムを聴いていつも感じるプレイの「幅」と言うのでしょうか、強弱をつけてアイディア豊かに繰り出すシンバルのショットが随所に溢れ、これは痺れます。そして後に述べますように、見事な録音が彼の最良の部分を私たちに伝えてくれています。
 ラス前は我らがリーブマンが「Mick Goodrick / In the Same Breath」「Celea, Liebman, Reisinger / Ghosts」で演っていた”Love Song”(原題”Liebeslied”)ですが、このアルバムの中では最も優しく(とは言っても「それなり」ではありますが)素材に寄り添う演奏になっています。一方、ロリンズの演奏で有名なラストの”Mack the Knife (Moritat)”(モリタート)は、案の定、と言うか予想どおりに100%彼ら流にハードに攻めてアルバムを締めくくります。

 最後にこのアルバムの録音についてですが、適度に音場を左右に広げ、ズーンと響くベースの低音からシンバル・レガートの高音までを鮮明に捉えた見事な録音は特筆ものです。特に左から右から聴こえてくるシンバルの音は「気持ち良い」に尽きます。この秀逸な録音がアルバムの価値を何段階も押し上げていることは間違いないでしょう。

 このblogを始めようと思ったときに、必ずこれは書かなきゃいけないな、と決めていた何枚かのアルバムの中の一枚です。
 素材と演奏と録音が見事に調和していて、大げさに言えば「こんな凄いトリオがあったんだ」として記憶に残すべき欧州ピアノ・トリオの最後にして最高のアルバムです。

(Another) Nuttree Quartet / Something Sentimental

Label: Kind of Blue Records
Rec. Date: Sept. 2007
Personnel: David Liebman (ss, wooden-fl), John Abercrombie (g), Jay Anderson (b), Adam Nussbaum (ds)
Nuttree Quartet_200709_Something 
1. Poinciana [Buddy Bernier, Nat Simon]
2. I Hear a Rhapsody [George Fragos, Jack Baker, Dick Gasparre]
3. Lover Man [Jimmy Davis, Ram Ramirez, James Sherman]
4. Besame Mucho [Consuelo Velazquez]
5. All of Me [Gerald Marks, Seymour Simons]
6. All the Things You are [Jerome Kern, Oscar Hammerstein]
7. It's Alright with Me [Cole Porter]
8. The Party's Over [Herbert Greene, Buster Davis]

 前回記事Harold Danko盤に引き続いての「穏当路線」で、我らがDavid Liebman(デビッド・リーブマン)が参加した(Another) Nuttree Quartetの「Something Sentimental」というアルバムを取り上げます。
 メンバーはリーブマンの他に、John Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)のギター、Jay Anderson(ジェイ・アンダーソン)のベース、それにこのblogではお馴染みのAdam Nussbaum(アダム・ナッスバウム)のドラムというギター入りワンホーン・カルテットの編成です。

 因みに、”(Another)”抜きの”Nuttree Quartet”名義で「Standards」というアルバムが同じレーベルから発表されていまして、こちらの方はテナーのJerry Bergonzi(ジェリー・バーガンジ)のギター・オルガン入りのワンホーン・カルテットの編成です。残念ながら私は聴いていませんが、ご参考まで。

 CDに掲載されているドラマーのアダムによるコメントによりますと、「私の母Murielが83歳で亡くなった際のパーティー(彼女は生前、自分が死んだ時は葬式funeralでなく“お祝い”celebrationにして欲しいと言っていた)でのこのメンバーによる演奏(彼女が生涯を通して親しんできた楽曲を選曲)が素晴らしかったので、同じメンバーで録音することとした。」・・・ヘタクソに意訳しますと以上のとおりです。

 トラックリストを見ますと、有名どころのスタンダードがズラッと並び、やり手の四人による演奏にしては、呆れるほど穏やかで優しいサウンドになっていますが、上に記した本作の背景を踏まえれば、これは充分に納得のいくところでしょう。
 ピアニストAhmad Jamal(アーマド・ジャマル)の演奏で私たちジャズファンにはお馴染みの”Poinciana”からスタートし、ラストは”The Party’s Over”でアダムの母のパーティーはお開きという憎いというか少々臭い演出です。耳慣れたスタンダードの一曲一曲について、いつものようなヘタクソな文章を書いてもしょうがありませんので、ここでは、このアルバムでのリーブマンとJohn Abercrombieについて簡単に述べることとします。

 まず我らがリーブマンですが、4曲目”Besame Mucho”では彼がしばしば手にする木製フルートを吹きますが、それ以外は全てソプラノで通しています。どの曲でも、このセッションの趣旨を充分に踏また抑え気味のプレイで、Murielが愛した楽曲に優しく寄り添っているという印象です。これもまたリーブマンの世界・・・思いっ切り贔屓目ではありますが私はそう思います。
 ギターのJohn Abercrombieについてですが、私は彼の熱心なリスナーではありませんが、ここでのプレイは私が今まで聴いたそれほど多くはない彼の演奏の中ではかなり「ジャズっぽい」と言うのでしょうか、素材がスタンダードということもあってオーソドックスなジャズ・ギターの匂いを感じます。メセニーやジョン・スコが見え隠れする彼のプレイ(影響の「ベクトル」はジョン・アバからメセニー或いはジョン・スコということでしょうが)をあまり好みとしていませんが、彼が奏でるフレージングと原曲からあまり遠くに離れない素直なバッキングは好感が持てます・・・こんなことを書いたら彼のファンは気を悪くされるでしょうし、おそらくこのアルバムが彼の最良のパフォーマンスでは決してないと思いますが。
 最後にもう一点、このアルバムの実質上のリーダーであるAdam Nussbaumの左右に広がるドラム、とりわけシンバルの高音がクリアに捉えられた良好な録音であることを付け加えておきます。

 全体的にちょっと「緩いなぁ」という気がしないでもありませんが、実力者四人が丁寧に、そして思いを込めて演奏していることが伝わってくる愛すべきスタンダード集です。

Harold Danko / Three of Four

Label: Steeple Chase
Rec. Date: Sept. 1997
Personnel: Harold Danko (p), Scott Colley (b), Jeff Hirshfield (ds)
Danko Harold_199709_Three Of Four 
1. Jitterbug Waltz [Fats Waller]
2. Tintiyana [Dollar Brand]
3. Everybody’s Song but My Own [Kenny Wheeler]
4. Ruby My Dear [Thelonious Monk]
5. Turn Out the Stars [Bill Evans]
6. 502 Blues [Jimmy Rowles]
7. Little Niles [Randy Weston]
8. Black Fire [Andrew Hill]
9. Valse Hot [Sonny Rollins]
10. Walk on the Water [Gerry Mulligan]
11. Blue in Green [Bill Evans]

 ここ3回ほど尖ったサウンドのアルバムが続きましたので、今回はガラッとムードを変えて、オーソドックスなピアノトリオのアルバムを取り上げます。
 1947年オハイオ出身のピアニストHarold Danko(ハロルド・ダンコ)のリーダーアルバムで、このblogではお馴染みのScott Colley(スコット・コリー)のベース、それにJeff Hirshfield(ジェフ・ハーシュフィールド)のドラムとのトリオによる「Three of Four」というアルバムです。

 Harold Dankoは、多くのリスナーにとって「名前はよく見かけるけれど、そう言えばじっくりと聴いたことはないね」というポジションのピアニストではないでしょうか。Steeple Chaseレーベルから20枚以上のリーダーアルバムを発表しているようですし、後期チェット・ベイカーのアルバムなどにも参加していますが、このあたり(特に彼のリーダーアルバム)を熱心に追っているリスナーって一体どれほどいるのでしょうか。私の手元でもリーダーアルバムは本作のみ、その他ではリー・コニッツのラージ・コンボ盤「Yes, Yes, Nonet(1979年録音、Steeple Chase)」と、ピアニストKirk Lightsey(カーク・ライトシー)と2台のピアノで演奏したウェイン・ショーター集「Shorter by Two(1983年録音、Sunnyside)」の計3枚といった具合です。

 話を戻しますが、本アルバムはタイトル「Three of Four」、すなわち「四分の三」(3/4、いわゆる「三拍子」)が示すとおり、全曲がジャズメン・オリジナルの選曲で、それらの初出演奏が三拍子のもの、或いはそうでないものを含め、全楽曲を三拍子にアレンジして演奏する・・・そういう分かりやすい趣旨のアルバムです。

 冒頭曲は「三拍子のジャズメン・オリジナルの定番」或いは「曲はもちろん知っているけれどオリジナルの演奏は聴いたことがない」の代表選手のようなFats Waller(ファッツ・ウォーラー)の”Jitterbug Waltz”(ジターバグ・ワルツ)。原曲の魅力を三人が味わいながら優しく演奏している・・・このアルバム全体のムードを象徴するかのような演奏でアルバムが始まります。
 ピアニストDoller Brand(ダラー・ブランド)の2曲目、トランぺッターKenny Wheeler(ケニー・ウィーラー)の3曲目と少々マニアックな曲が続きますが、私には初対面のこれらの楽曲のオリジナルは三拍子だったのでしょうか。
 続いて、多くのミュージシャンが取り上げるモンクの”Ruby My Dear”とビル・エバンスの”Turn Out the Stars”(オリジナルはもちろん三拍子ではありません)ですが、これらを少々強引に、と言うかむしろ「微笑ましく」三拍子にアレンジして演奏していて、このあたりで私たちは完全にHaroldの「三拍子の世界」に引きずり込まれています。
 6~9曲目の4曲は、オリジナルが三拍子ゆえに多くのリスナーに強い印象を残したと言ってもよいくらいのよく知られたジャズメン・オリジナルがズラッと並び、オリジナルの雰囲気がストレートに伝わってくるような演奏が続きます。
 ラス前の10曲目はGerry Mulliganが1980年に録音した同名のビッグバンド盤からの選曲で、愛らしい三拍子(オリジナルは四拍子)に料理しています。ラストはお馴染みマイルス(作曲はビル・エバンス)の”Blue in Green”の三拍子バージョンで、実に懇ろに、そしてしっとりと演奏し、これはなかなか聴かせます。

 Harold Dankoは、個性際立つというタイプでは決してありませんが、上品な語り口で丁寧にプレイするピアニストで、本アルバムもそのようなリーダーの個性・持ち味を反映して、極めて「穏当な」アルバムに仕上がっています。それに、このblogで何度か書いているように、例によってScott Colleyの図太いベースがしっかりとこのトリオを支えていて、そういう意味でも安心して聴くことができる、欠点の見当たらないアルバムですが、やはり三拍子を貫いたということが、言うまでもなくこのアルバムの特徴にして、最大の成功ポイントになっていることは間違いありません。

 平均点をやや上回るピアノトリオといったところだろうと思いますが、理屈抜きに品の良い「三拍子集」で、休日の朝一番などには、或いは~演奏者には大変失礼ではありますが~読書のお供などにはピッタリの、肩の凝らない「小品」アルバムです。

John Escreet / Sound, Space and Structures

Label: Sunnyside
Rec. Date: Sept. 2013
Personnel: Evan Parker (ts, ss), John Escreet (p), John Hébert (b), Tyshawn Sorey (ds)
Escreet John_201309_Sound 
1. Part I
2. Part II
3. Part III
4. Part IV
5. Part V
6. Part VI
7. Part VII
8. Part VIII
9. Part IX

 前回記事の「Luka Nostro / Are You OK?」でエレピを弾いていたJohn Escreet(ジョン・エスクリート、1984年イギリス生まれ、NY在住)ですが、今回は2013年録音の彼自身のリーダーアルバム「Sound, Space and Structures」を取り上げることとします。

 このblogでJohn Escreetを最初に取り上げた「The Age We Live In」の記事で「個人的には一番シックリきますが、blog向きの内容ではありませんので・・・」としていたアルバムです。「The Age We Live In」の記事を書いた時点以降、John Escreetは2枚のリーダーアルバム(本作と同一メンバーのライブ盤「The Unknown(2016年録音、Sunnyside)」とGreg Osbyらが参加した「Learn to Live(2018年録音、Blue Room Music)」)を発表するのですが、今でもやはり「一番シックリ」くるのがこの「Sound, Space and Structures」ということで、blog向きのアルバムかどうかは別として、今回取り上げる次第です。

 メンバーは、欧州フリージャズ界の重鎮Evan Parker(エヴァン・パーカー、1944年イギリス生まれ)のサックス、John Hébert(1972年生まれ、リーダーアルバム「Byzantine Monkey」で既出、同記事に書いたように発音がわかりません、エイバート?エベール?)のベース、ドラムは前回記事「Luka Nostro / Are You OK?」参加のTyshawn Sorey(タイショーン・ソーリー、1980年生まれ)ということで、大ベテランのEvanを若手三人が迎えるという構図です。
 このように本作は、ガチガチ・フリージャズのEvan Parkerのワンホーンで、John Escreetのリーダー作の中では、そしてこれまでこのblogで取り上げたものの中では、最も「フリージャズらしいフリージャズ」のアルバムということになります。

 トラックリストの不愛想な九つの楽曲タイトルと言うか「記号」が示すとおり、セッションが始まる前に彼らの間でどれほどの「約束事」があったかどうかわかりませんが、九つのパートからなる(基本的に)完全インプロの演奏が繰り広げられます。
 まず、このような演奏を受け入れられるかどうかということが「入口」になるわけですが、その入口に入れない多くのリスナーが存在することは充分理解できますし、やれフレーズがどうであるとか、何曲目のピアノソロはなかなか聴かせるであるとか・・・こういう演奏を前にして、いつものようなヘタクソな説明は不要かつ無意味ですので、簡単に~ここまでで既にグダグダと書いてしまいましたが~このアルバムが「一番シックリ」くるポイントを、上手く表現できるか自信がありませんが、以下に述べたいと思います。

 ポイントは三つです。
 まず最初にリーダーのピアノについてです。
 「The Age We Live In」の記事で述べましたように、基本的に「John Escreetはフリージャズのピアニスト」だと私は思っています。すなわち、本作のように約束事から解放された正にフリーなフォーマットにおいてこそ、このピアニストの良さが最大限発現されると思うのです。豊かなアイディアが次から次へと湧き出してきて、「入口」から入ってくることのできたリスナーたちを強力に把握(グリップ)する・・・何のことだかさっぱりわからない文章になってしまいますが。ここでのJohn Escreetのプレイに、私はそのようなパワーを感じます。
 さらに彼のピアノの「弾き方」という点では、音がとても「粒立って」聴こえます。このような彼の「粒立つ」音の配列は、構成力やスケールという点ではいささか小振りではありますが、私の大好きな1970年代のCecil Taylorのソロ・パフォーマンスを思い出します。敢えてもう一度申し上げますが「John Escreetはフリージャズのピアニスト」ということです。

 二つ目は、御大Evan Parkerのプレイです。
 John Escreetの「粒立つ」音にわりと近い感触なのですが、Evan Parkerはどんなに激しいブロウの場面でもアドリブ・ラインが崩れない、と言うか「一音一音をはっきり吹く」プレイヤーだということが明確に表れているということです。さらに言うならば、それほど多くを聴いている訳ではありませんが、彼の70、80年代のプレイに比べて、若干パワーダウンしているように聴こえるものの、それでもこのような楽器の鳴らし方と言うか「音符の発し方・並べ方」は、より美しく、クリアになっているように私には感じられます。

 最後の三点目は、秀逸な録音であるということです。
 上に書いたような二人のプレイヤーの一音一音、それに加えてベースとドラムの低音から高音までが見事に捉えられた録音が、本アルバムの価値を高めている、と言うか「聴きやすさ」を助長していることは間違いありません。
 そしてついでみたいになってしまいますが、ベースとドラムの二人のシャープな反応が、このカルテットの生命線になっていることも確かでしょう。

 当初の予想通り、的を射ないコメントになってしまいました。
 いずれにしても、John Escreetというピアニストの最良の部分がここにあると私は思っていますし、さらにベテランEvan Parkerの「美しさ」を再認識することができたのも収穫でした。
 見事な録音で捉えられた43分強の(程よい長さの)濃厚な時間は、「聴いて楽しいフリージャズ」まではいかないとしても、私にとっては「聴いても全く退屈しないフリージャズ」のアルバムになりました。

プロフィール

sin-sky

Author:sin-sky
ジャズ歴四十余年の初老♂です

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